シンギュラリティ実験ノート

購入した1000ドルPCで何がどこまでできるのか実験した記録です。

世の中に起こる指数関数的な変化

世の中には指数関数的に変化する事象がある。PCの性能向上はそれが顕著に現れる例であるが、それ以外にも同様な事象はあるということを書いてみた。

はじめに

指数という言葉を聞いただけで頭が痛くなるという人は多いだろう。私もその一人である。高校の頃、数学で指数、対数は苦手であったし、これが何の役に立つのかと思ったものである。そんな私も、指数、対数を使うと便利なことがある、ということに最近になってようやく気づいた。どんな便利なことがあるかは順を追って説明したいので、指数が苦手な方も(ほとんどの方がそうだと思うが)我慢して読んでいただきたい。

指数関数的に変化する事象の例

以下は米国の1980年から2022年までの実質GDPのグラフである。

米国実質GDP

グラフから指数関数的に成長していることはなんとなく分かる。ではそのGDPの成長率はどれくらいだろう。グラフをいくら眺めても分からない。それを求めるにはPCの力を借りることになる。データを指数関数で近似して成長率を求めた結果が以下である。

米国実質GDPを指数関数で近似

GDP成長率が5%であることが分かる(グラフの凡例に表示されるRの値)。最小二乗法という手法で実データと近似式との差が最小になる関数の係数を求めている。長くなるのでここでは詳しく説明しないが、私はこれをpythonでプログラムして結果をグラフにしている。

GDP成長率はニュースなどで前年比何%と報道されるので、わざわざグラフから求めなくても分かると思う方もいるだろう。では次のグラフはどうだろう。Appleの株価である。

Appleの過去10年間の株価

過去10年間の株価(月足終値)をプロットしている。恐ろしい勢いで上がっていることは分かる。成長率はPCに聞いてみよう。

過去10年間のAppleの株価の成長率

28.1%だと教えてくれる。株価のグラフはいろんなサイトで見ることができるが、成長率(年利)を示してくれるサイトは見たことがない。ちなみにグラフの凡例に表示されるr2とは決定係数と呼ばれるもので、最小二乗法の誤差の程度を表している。係数が1に近いほど関数によく近似できていることになるが、0.917はギリギリセーフといったところであろうか。

その他の指数関数的な事象

私が気づいたその他の事象としては、某国の政府債務残高、インフレ状態の国の法定通貨下落率、金(ゴールド)の価格などがある。このような方法で世の中を見ると分かってくることがいろいろあると思う。特に株価の成長率(年利)を知ることは投資活動に応用ができると思う。

投資活動への応用

ここで補足しておきたいことは、全ての株が指数関数的に成長しているのではないということだ。むしろきれいに指数関数的に成長している株は稀である。しかし市場全体、例えばダウ平均株価とかNASDAQ総合指数などで見れば指数関数的であるということだ。それと株価は下落するタイミングがある。それがいつかは分からない。しかし10年、20年という期間で見れば指数関数的になっているという点である。

私はダウ平均株価、NASDAQ総合指数、日経平均を分析して株価は指数関数的に上昇すると信じている。このことから長期投資を自分の投資スタイルとしている。

また、分散投資も心がけている。投資商品の選び方は未だに素人であるが、前述の成長率(年利)を参考にして投資リスクと投資効率を判断するようにしている。

投資効率を簡単に計算する方法

ここで「72の法則」を紹介したい。かなり前になるが私は無料投資セミナーに参加した時、ファイナンシャルプランナーの講師の方からこれを教わった。この法則を知っただけでセミナーに参加した意味があったと感動したのを覚えている。「72の法則」の詳しい説明はWikipediaにあるので見ていただきたい。簡単に説明すると「7.2%で複利運用すると10年間で元金が2倍になる」ということを暗算でも計算できる便利な法則なのである。つまり下記の式のように求めるのである。

72\div7.2=10

ではAppleの年利(成長率)28.1%をこの法則に当てはめるとどうなるか。

72\div28.1=2.56

2.56となり、約2年半で投資した資産が2倍になることが対数式を使わずに求まるのだ。またそれなりにリスクの高い投資であることも、この年利から理解できるのだ。

おわりに

世の中にある指数関数的に成長する事象を紹介した。また、私の投資スタイルも紹介させていただいた。投資スタイルへの応用は自分自身で判断していただきたい。判断する上で、手始めに10年、20年といった長期でダウ平均株価の成長率を分析してみることをお勧めする。プログラムを作らなくてもEXCEL のLOGESTという関数を使えば指数回帰(指数関数への近似)ができる。この方法は別の記事で紹介したい。