シンギュラリティ実験ノート

購入した1000ドルPCで何がどこまでできるのか実験した記録です。

AMD ROCmを使うことで何ができるのか

MINISFORUM UM790 Proを注文した後、AMDもROCmというソフト(NVIDIAのCUDAに該当するもの)を提供していることを知った。このAMD ROCmを使うことで、UM790 Proで動作が期待できるAI関連ソフトについて書きたい。

ROCmでMNIST

ROCmについて正確に知りたい方は本家のページを見ていただきたい。

www.amd.com

ROCmを使ってAMDGPUでMNIST(文字(数字)認識の機械学習サンプルプログラム)を動作させた報告を幾つか見つけた。まず下記サイトではノートPCのRyzenのAPU(CPU+iGPU)で無理やりであるがMNISTを動かした様子。

blog.ingage.jp

こちらはAMDGPUとして何を使ったかはわからないが、やはりMNISTを動作させている。

qiita.com

基本的にはこちらに書いてある通りにやれと書かれている。

ROCm-docker/quick-start.md at master · ROCm/ROCm-docker · GitHub

ROCmの対応OSはLinuxのみだ。Windows上のWSLでは動かないそうである。上記ページでは共にLinux上にdockerという仮想環境を用意して動作させている。

ROCmで動作が期待できるAI関連ソフト

仮にROCmをインストールしてUM790 ProのGPUが利用でき、MNISTの動作を確認できたとすると、更に以下のソフトウェアについてGPUでの動作が期待できる。

Python版dlshogi

DeepLearning系の将棋AIである。PythonとPyTorchを導入すれば動くと思われる。

C++版dlshogi

Python版より高速化された最強将棋AI。本来はNVIDIA TensorRTというニューラルネットワーク推論ライブラリが必要。AMDでこれに該当するソフトは見当たらない。ただしOnnxRuntimeを使えば、TensorRT版に比べてかなり性能は落ちるが、NVIDIA以外のGPU、CPU内蔵GPUでも動作するはずである。私はMac mini(Late2012)でCPUを使いこれを動作させた経験がある。

ふかうら王

こちらもC++で書かれたDeepLearning系将棋AIである。これもMac mini(Late2012)でOnnx版が動作している。ちなみにMac mini(Late2012)で性能的にはNPS値(1秒あたりの探索ノード数)は 52であった。

StableDiffusion

MNISTが動けば多分これも動くはず。最近はwebuiという便利なUIが使えるらしい。

まとめ

UM790 ProのGPU利用については、購入前は正直期待していなかった。しかしROCmのことを知り、GPU活用について少し光が見えてきた気がする。

この記事を読んだ方に誤解があってはいけないので明記するが、AMDが正式サポートしているGPUは、Radeon RX 7900 XTX、Radeon RX 7900 XT、Radeon PRO W7900などである。つまりUM790 ProのRadeon 780Mはサポート対象外である。動かないからと言ってAMDに文句は言えないのである。動けばラッキーぐらいの気持ちでチャレンジしたい。