シンギュラリティ実験ノート

購入した1000ドルPCで何がどこまでできるのか実験した記録です。

NVIDIA DGX Sparkの販売ってどうなってるの?

NVIDIA DGX Sparkについて気になっていることが幾つかある。

当初の発表では2025年5月販売開始で販売予定価格は3,000ドルであった。発表当時に私も本ブログにメモを残している。

NVIDIA製のAIスパコンはミニPCサイズ - シンギュラリティ実験ノート

 

日本でも販売予約は開始されているようだが出荷開始されたという情報は入ってこない。アメリカではどうなんだろうと気になったが、自分で調べるのも大変そうなのでAIエージェント(Claude desktop+Serper)に頼んで調べてもらうことにした。以下のように聞いてみた。

 

NVIDIAのDGX Sparkはアメリカでは販売予約は開始しているようですが、既に購入した人はいますか?購入後のレビュー記事はありますか?

 

最近、Claude desktopを導入してMCPサーバ経由でWeb検索できるようにしてみたのだ。Claude desktopから実行すると瞬時にネット検索して結果を報告してくれた。

 

 

本当にネット検索して調べてくれたのかまだ不安はあるが、こういう使い方ができるのは便利である。Claude君が調べてくれた結果によると、アメリカでも販売開始は遅れているようだ。しかも販売価格は4,000ドルになっている。ASUS等の他社製では3,000ドルの価格もあるらしい。

 

更に自力で検索したところRedditに以下の記事(2週間前の記事)があった。

https://www.reddit.com/r/LocalLLaMA/comments/1mgis6h/nvidias_highly_optimistic_dgx_spark/

wccftec.comの以下の記事が紹介されている。

NVIDIA's "Highly Optimistic" DGX Spark Mini-Supercomputer Still Hasn't Hit Retail Despite a Planned July Launch, Suggesting Possible Production Issues

NVIDIAの「非常に楽観的な」DGX Sparkミニスーパーコンピューターは、7月に発売予定にもかかわらずまだ店頭に並んでおらず、製造上の問題の可能性を示唆している。

 

製造上の問題とは、製造品質的な問題、サプライチェーン上の問題などが考えられるが詳細は不明だ。

ひょっとすると世界中でGPUの需要が高まり、製造ラインが足りてないのかもしれない。私がそう思うのは、同時期に発表されたJetson Orin nano superも当初今年1月から販売開始予定だったと思うが、未だに出荷されている様子がないからだ。

Jetson Orin nano superを使うと何ができるのか - シンギュラリティ実験ノート

 

菱洋エレクトロ株式会社の販売サイトは1月からずっと販売停止中のままだ。こいつはハード的にはJetdon Orin nanoと同じなので製造上の問題などないはずだ。出荷が遅れているのは、データセンター向けの利益率の高い製品の注文がバンバン入っているので、利益率の低いコンシューマー向け製品を製造している余裕などないという経営的な判断と製造ライン不足というサプライチェーン上の問題があるのかと推測する。

 

もうひとつ細かい点で気になるのは、技術仕様上の問題だ。DGX Sparkの消費電力は発表時からずっと「TBD」(To be Determinedの略で未定の意味)となっていた。電源供給はUSB-CのUSB給電で行われることになっているので、100Wか最大でも140Wかと思っていた。しかし日本で販売予約を開始している日本コンピューティングシステム(JCS)のサイトを見ると170Wと記載されているのだ。

 

調べてみるとUSB給電の仕様拡張版であるUSB PD 3.1 (EPR)では最大240W (48V/5A)が可能になっているらしい。しかしAmazonでこれに対応する充電器やUSB-Cケーブルを探しても見当たらなかった。仮にDGX Spark本体を確保できたとしても電源確保で苦労する可能性がある。またこの時期になってようやく消費電力が公開されることにも製品品質面で若干の危うさを感じる。

 

現状では個人が大型LLMをローカルで動かすにはMac Studio 512GBを10,000ドルで購入するのが性能面でもコスパ面でも良い選択かと思う。Mac Studio 512GBの価格10,000ドルを基準に考えると、DGX Spark 128GBは2,500ドルが妥当な価格に思える。NVIDIA製DGX Sparkの4,000ドルは高すぎるし、ASUS等他社製の3,000ドルという価格も微妙だ。しかしDGX SparkにはConnectXで2台接続して256GBメモリの構成にできる魅力もある。

 

DGX Sparkはいつ出荷されるのか、どれくらいの性能が出るのかもう少し見守りたい。

 

2025-10-15追記

DGX Sparkの販売が開始された。Youtubeでもレビュー記事が見られるようになった。私が心配した電源問題は杞憂だったようで240Wまで供給可能なACアダプタが付属しているようだ。

https://www.youtube.com/watch?v=rKOoOmIpK3Iの動画の3分5秒辺りより引用

 

gpt-oss120bでAMD Strix Haloと性能を比較したレビュー記事があった。プロンプト評価速度と生成速度共にStrix Haloの方が早い結果になっている。

gpt-oss20/120b AMD Strix Halo vs NVIDIA DGX Spark benchmark

意外な結果であるが、最適化がまだ十分でないのかもしれない。