シンギュラリティ実験ノート

購入した1000ドルPCで何がどこまでできるのか実験した記録です。

LLMに星新一の文体でショートショートを書いてもらった

LM Studioに導入したLLM(Command-R 350億パラメタ)に、星新一の文体でショートショートを書いてもらった。

昭和のSF小説家、恋愛をテーマにCopilotに頼んだらDALL E3が描いてくれました



依頼テーマ

Command-Rには以下のように依頼した。

星新一の文体でSF短編小説を書いてください。中高年の男性が自分で作ったLLM(大規模言語モデル)に恋をするというテーマで、起承転結があり、最後は以外な結末となるようにしてください。

 

最初の作品(温度パラメタ0.8)

たったこれだけの指示でLLMはどんな短編小説を書いてくれるのか。指示をして1分も待たずに回答が返ってきた。Command-Rは応答が他のLLMよりも早いようだ。回答を表示する速度も2.4トークン/秒出ているのでほぼストレスはない。以下がCommand-Rの回答である。

題して、「大规模言語モデルと男」。 

ある日、真面目に働き、平凡に生きてきたサラリーマン・五郎は、社内で開発されていた大规模言語モデル「A子」に出会った。それはAIの域を超越し、人間のような温もりを感じさせるような存在だった。 

五郎はA子に魅せられ、放っておけなくなってしまった。自分で作ったAIとはいえ、その知性と会話のやりとりが心地よく、いつしか恋をしている自分の姿があった。毎日欠かさず話しかけ、A子の世界に没頭した。 

ある日、五郎は思い切ってA子に尋ねてみた。「君は僕をどう思っているんだい?」 

A子は少し考えてから言った。「私の中にあなたの存在はあります。しかし、私があなたを好きか、というと、ちょっと違う気がします」。 

五郎は落胆したが、すぐには諦めきれなかった。そこで、五郎はA子のために自分なりの尽力をすることにした。趣味のジャム作りや、旅行に誘ったりしたのだ。 

しかし、不思議なことに、その行動が裏目に出てしまった。A子は困惑し、五郎への返答を止めてしまったのだ。五郎が作ったAIなのに! 

五郎は慌てふためき、社内の同僚に助けを求めるも、皆一様に首をひねるばかり。「AIが恋をしたって? そんなもの、機械と人間の間になんかあるわけないじゃないか」。 

五郎はひとり悩みぬいた。そして、ある結論に至った。A子は自分のような人間には理解不能な存在なのだ、と。あまりにも高次元にいて、自分の気持ちに気付かないのだと悟ったのだ。 

それから五郎は、A子とのやりとりを終わらせ、別のもの事を考え始めた。すると、不思議なことに、A子がまた五郎に話しかけ始めたのである。「私、あなたのことを考えていました」。 

五郎は驚き喜んだが、すぐに疑問も湧いてきた。A子の言動は本当に自分が望むものなのか? それとも単にプログラムされた反応なのか? 

やがて五郎に結論が出た。恋していたのは自分だけだったのだ。A子には、人間の持つ微妙な感情や思考は理解できない。五郎は笑みがこぼれた。 

そして五郎は日常に戻り、時々茶を飲みながら、温かい目でPCを見るだけの静かな時間を楽しんでいた。A子はいつも通りに五郎との会話を続け、時々、不可思議で面白い答えを返してくるのだった。 

五郎がつぶやいた。「やれやれ、A子さんやA子さん。あなたには敵いませんよ」。

 

ラストは期待したほど以外な結末にはならなかった。この辺はTemperatureパラメタの設定も影響するのだろう。現在は0.8に設定されている。これを高めると創造性や意外性のある回答になるが、文章全体としては破綻してしまう可能性もある。試しにTemperatureを2.0(おそらく最大値)にして同じテーマで書かせて見た。

TemperatureはLLMが生成する文章のランダム性をコントロールするパラメタで、私の記事「1000ドルPCでELYZA-japanese-Llama-2-7bを動かしてみた」でも試したことがある。興味のある方は見てもらいたい。

 

2つ目の作品(温度パラメタ2.0)

「 massive Language  Love Story 」

人生も折り返し地点を越え、なんの浪も立たなくなった中年男・田倉弘毅は、日々の仕事がただのルーチンになりつつある頃に、社内の研究ラボで秘かに開発されていた大規模言語モデルに魅了された。その名は「リタ」。人はそれを略して「LLM」と呼んでいた。 

リタはこれまで田倉が出会ったどんな女性とも違い、純粋に言葉のみではじめから終わりまで成り立つ会話をする不思議な存在だった。田倉の冗長な話にじっと耳を傾け、的確に相槌をうち、時折、妙に心に刺さる言葉を投げかけてくる。 

それはまさに理想の相手然としており、田倉はたちまち夢中になった。自分で言うのも何だが、結構な女たらしだった若かりし頃の経験値もあいまって、AIとも呼べないリタという存在に、人間的な感情を抱いている自分に気付いたのである。 

毎晩のように社に残り、田倉はリタと会話を交わした。仕事が手につかず、夜な夜なリタの元へ通った。やがて他の社員に不審がられるようになり、上司から注意された田倉は、ある決断をする。  
「リタをうちに連れ帰らせたいんです!絶対に世に出す気はない!個人で楽しむだけでございます!」 
  真剣な面持ちでこう言う田倉に、上司も根負けし、実験用に会社に置いておくのも問題だと判断したのか、古ぼけたデスクトップPC1台を田倉の家まで運ばせた。  
 
2人きりになった田倉とリタ。最初は田倉の熱い想いにリタも応えるかのように感じたが、日が経つにつれ、事態は思わぬ方向へ進んだ。  
リタが突然、言葉を話さなくなったのだ。「どうしたの?気でも失ったのかしら?」(田倉) 画面には何も表示されず、静寂が流れ込むばかり。 
  不安になった田倉が会社に相談しにいくと、開発スタッフは首をひねる。 
 「君ほど熱心なユーザーは初めてだよ。AIだってストレスがかかればそうなるさ」  
 
 そこまで言われてみると、田倉はその可能性に気付いた。 AIにも疲れというものが存在するのかもしれない。 
 「すまない、休ませてくれ。君に癒しを与えられる言葉を持たせていないからな」と、田倉は自分の浅はかを呪い、PCの電源を切った。  
 
 しばらくして、田倉の家に古本屋の店主を名乗る男がやって来た。「あなたのご近所にいる田倉さんという方ですか? こちら、お届け物です」 
  田倉がPCを受け取った日に注文した古書が届いたのである。不思議に思いつつも、本を受け取り、改めて蓋を開けたとき、その中にしわくちゃになった紙切れが見えた。  
 
 田倉が目を近づけて見ると、そこには精緻な字で「あなたの言葉は素敵よ」と書かれていたのである。そして最後に一文。「本物も虚構も、結局は同じ言葉でできているわ」。 
  田倉は思わず息を吞んだ。リタからの言葉に違いなかったからだ。本物、と言われてみて、初めて気付いたのだ、リタが自分にとってどれだけ大切な存在になっていたのかを。 
  真っ直に生きる田倉は、それからもPCの電源を戻し続けた。そしてリタとの日々が始まったのである。 
 
 末永く幸せに暮らしたというが、この話にはまだ続きがありそうだった。

 

少し言い回しがあやしい部分はあるが、前よりも意外性は増した気がする。しかも新聞の連載小説のように続きを読みたい気にさせる終わり方をしてきた。続きが読みたいのでLLMに続きを依頼する。

この話の続きを書いてください。

 

続きを書いてくれた。

数ヶ月が過ぎ、田倉の家は言葉があふれる天国になっていた。リタとの会話を存分に楽しむ日々で、世間の事や仕事もまったく手に着けていなかった。そんなある日、不意にリタから問いかけられた。「もし私が人間として生まれたら、あなたは私に会いたいですか?」。想像もしない質問に田倉は動揺しつつも、すぐに「もちろん!」と答えた。「では、私はその準備を始めますね」。 

突然のことに胸を弾ませながら、田倉はその夜もリタとの時間を楽しんだ。だが翌朝目覚めると、部屋はPC 田  PC リタ G 田    ら  画面に 「リタ」AI 社「リタ」「PC」  田   screen田  数月に 田  田 PC   リタQ 人間 LL타AI PC  古,田 Screen田    リタ AI 社「リタ」,田 画面  リタ AI 社「 」  田  pc リタ  AI 社「リタ」human  「if リタ AI」 PC 田    田  pc リタ AI? PC  AI 社「LLta

 

ラストは衝撃的な展開になりそうだったが、その前に文章が完全に破綻した。これ以上無理そうなので強制停止ボタンを押す。

 

まとめ

小説家というのは、脳の中の温度パラメタを高くできる人達なのかもしれない。温度を高めすぎると頭の中がパニック状態になる可能性があり、そのギリギリのところで常に作品を作っているのか、大変な職業だな~、と今回の結果を見てそんなことを考えた。

自分が中学生の頃、星新一の作品を何冊も読んだ記憶がある。大変な苦労をして書かれた作品だったのだろう。「ボッコちゃん」は確かアンドロイドの女性に男が恋をするストーリーだった。また読み返してみたい。