東大アメフト部が関東TOP8のリーグ戦で快進撃を続けている。
これまでの2試合の結果
立教大学との初戦では前半7対17のスコアから第4Qに同点に追いつき、更にフィールドゴールで逆転勝利かと思われる展開。しかし立教大学ディフェンスの執念のブロックによりフィールドゴール失敗。そしてタイブレーク方式の延長戦にもつれ込むも延長戦を15対13で制して見事勝利した。
慶応義塾大学との第2戦も前半0対14と引き離されそうになったが第3Qに見事逆転。慶応も意地を見せ第4Qに一時同点にされたものの、最後は試合残り時間3秒からのフィールドゴール成功でこれまた劇的な逆転勝利だった。
アメフトの試合で逆転勝ちができるということは、チームに地力がある証拠だと思う。ディフェンスには失点を最小限に抑える力があり、オフェンスにもワンチャンスを逃さず得点する強さがある。ディフェンスとオフェンスのバランスの取れたチームであることが逆転勝利できるチームの必須条件だ。
東大アメフト部の闘いに注目する理由
この東大の快進撃にはもっと注目が集まって然るべきだと思う。私がそう思うのは東大が国立大学としてTOP8リーグの中で頑張っているということ以外にもう一つ理由がある。東大アメフト部のオフェンスが実に個性的で、良く考えられたシステムを採用しているのだ。
何時からか覚えていないが日本のアメフトチームのオフェンスはほぼ100%がショットガン体型のオフェンスを採用するようになった。つまりパスプレイ中心のオフェンスになっている。
東大が採用しているオフェンスフォーメーションはフレックスボーンと呼ばれるフォーメーションで、特徴を一言で言えば「ゴリゴリのランプレイ主体オフェンス」である。
以下のサイトにフレックスボーンの説明があった。
[04]02(12)フレックスボーン - ネコでもわかるアメリカンフットボールのルールとプレー
説明のため画像をサイトから引用させていただく。

こんなフォーメーションを知っている人は少ないと思う。私も知らなかった。
(以下は素人の解説なので興味の無い方は読み飛ばしていただきたい)
もともとは1960年代にアメリカのカレッジフットボールで流行ったウイッシュボーンというゴリゴリのランプレイ主体のフォーメーションがあり、それを発展させて2人のRBをラインメンの外側(ウィングとかスロットと呼ばれる位置)に配置してランにもパスにも柔軟に対応する役割を与えたフォーメーションらしい。2人のRBをXB(フレックスバック)と呼ぶ。

上記はオプションプレイの例である。
東大の全てのプレイはXBのインモーションから始まることが特徴になっている。そして基本的な攻撃は3つしかない。
- XBインモーション→RBの中央の早いランプレイ
- XBインモーション→オプションプレイ(QBキープまたはインモーションしたXBへのピッチ)
- 1のランプレイフェイクからのパス(XBまたはTEをターゲットにしたプレイアクションパス)
派生形がそれぞれにあるので実際の攻撃は多彩に見えるのだが、よく見ると上記3つが基本となっている。全ての攻撃はXBの同じインモーションから始まるのでディフェンスはプレイを予測することが難しくディフェンスの判断を遅らせることができる。
東大チームがこのようなオフェンスに取り組んでいるのは、ショットガン攻撃を採用しても勝ち目がないと判断したのだと思う。他チームと同じことをしていれば体力勝負になってしまう。他私立大学チームには高校時代からのアメフト経験者が豊富にいて経験値にも差がある。それらを考慮して彼らが勝つために選択したのが、他チームが経験したことも見たこともない攻撃フォーメーションだった。これはいわゆる「差別化戦略」という考え方でビジネスの世界等でも通じる考え方であり、私にはとても興味深い。
TOP8試合日程
東大アメフト部はこれからTOP8上位チームと対戦する。
- 9月21日(日)17:00 対早稲田大学 アミノバイタルフィールド
- 10月4日(土)17:00 対法政大学 富士通スタジアム川崎
現時点で2連勝しているチームは早稲田大学、法政大学、東京大学の3チームのみ。従ってこの2試合がTOP8リーグの優勝を大きく左右することは間違いない。
試合日程の詳しい情報は関東学生アメリカンフットボール連盟のHPまたは東大WARRIORSのHPから確認できる。
おわりに
今年の東大WARRIORSは攻守のバランスの取れた良いチームだ。最初の2試合を逆転勝ちしていることも大きい。このような勝ち方はチームに勢いを付ける。この勢いのまま早稲田大学戦、法政大学戦に向かえば何かが起きるかもしれない。そんな予感で興奮しているのは私だけだろうか。いや、東大アメフト部OB達は今かなり盛り上がっているはずだ。
私は完全部外者だが😅、東大チーム側で久しぶりに学生スポーツを観戦してみたい。