高速GPUボードを持っている人であれば、これでビットコインをマイニングして小遣い稼ぎをしたいと一度は考えるのではないか。私もPCの購入を検討していた昨年に、高速なNVIDIAのGPUを持つPCであればマイニングの採算が取れるのではと考えた時期があった。しかし調べ始めると、GPUがマイニングの主流だった時期は既に終わり、ASICという専用集積回路を使ったマシンが主流になっていることを知った。GPUのマイニングは採算の取れない時代に既になっていたのだ。
そこでマイニングは諦めて、今の1000ドルPCを購入したわけだが、マイニング自体にはまだ興味があるので、1000ドルPCでビットコインがマイニングできるかを試してみた。
環境構築
NiceHashにアカウントを登録する
NiceHashはハッシュパワーマーケットプレイスで、PCが提供するハッシュパワーに応じて報酬を得ることができる。Windowsで動き、環境構築のハードルが最も低そうなのでここを使うことにした。
ソフトを導入する
NiceHash QuickMinerとNiceHash Minerがある。NiceHash QuickMinerが良さそうだったが全く動かなかった。あきらめてNiceHash Minerを導入した。両プログラムともにNiceHashのHPからダウンロードできる。私はNiceHash Minerは下記のGitHubからWindows用インストーラを入手して導入した。
上記のGitHubによると、AMDのGPUはOpenCLを介してサポートされているようなのでOpenCLも導入した。手順が分からなかったのでWindowsのCopilotに聞いたところ、複数の方法を教えてくれた。一番簡単そうなvcpkg 経由でビルドする手順で導入した。
コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを実行する。
git clone https://github.com/microsoft/vcpkg.git cd vcpkg .\bootstrap-vcpkg.bat
NiceHash Minerを起動する
NiceHash Minerを起動すると、最初はCPUとGPUのベンチマークを実行する。複数のマイニングのアルゴリズムでベンチマークが行われるが、GPUに関してはほとんどエラーとなる。14個中2つのアルゴリズムが通ったのでなんとかCPUとGPUでマイニングができるようになった。
マイニングしている様子はNiceHashのページにログインするとダッシュボードが表示されてそこで確認できる。ダッシュボードの様子は以下の通りだ。
マイニング結果
UM790 Proを24時間動かすと、0.00000288BTCが報酬として貰えるようだ。1BTCが今1000万円以上になっているので、これは約30円となる。
これで採算がとれるかどうかを見るには電気代を計算しなければならない。UM790 Proの消費電力が80Wとして、24時間動かすと1.92KWh。1KWhを36円とすると電気代が69円/日となるので、マイニングすればするほど赤字という結果になった。
最近のビットコインの状況
ビットコインはこの4月に約4年に一度の半減期(マイニングの報酬が半額になる仕組み)を迎えると言われている。アメリカで今年1月からビットコインのETFが承認されたこともあり、ビットコインの価格は急上昇しているが、半減期がビットコインの価格に影響を与える可能性もある。
例によって10年間という期間でビットコインの成長率を計算してみると、ビットコインは84.9%という凄まじい年利で上昇している。
GPUでマイニングして儲かる時代は終わった、と頭では分かっている。しかしこのグラフを見るたびに変な妄想を繰り返してしまう。
- 「同じ消費電力で20倍、30倍早いGPUならマイニングの採算がとれるのでは」
- 「いや、そんなマシンを買う前に直接ビットコインを買ったほうがいいのでは」
- 「でも急落する可能性もあるし」(ここで1の妄想に戻る)
いずれにせよビットコインの知識は持っておきたい。もう少しNiceHashでマイニングしながら経験を積んでいくつもりだ。