シンギュラリティ実験ノート

購入した1000ドルPCで何がどこまでできるのか実験した記録です。

日本の年金の仕組みを最近ようやく理解した

年寄りくさいテーマであるが年金について書いてみたい。私は自分が年金を受取る年になり、その仕組をようやく理解した。自分が若い頃は年金について少し興味はあったとしても、深く考えたことはなかった。それはそうだ。会社では仕事が忙しいし、家に帰れば子育てのことや、家のローンの返済などで頭がいっぱいだからだ。しかし自分が年金を受け取る年になると、仕事は忙しくもないし、子育ても、ローンの返済も終わっている。そこでようやく年金はいくらもらえるのか、日本の年金の仕組みは大丈夫なのかと気になってくるわけだ。

日本の年金の仕組み

以前の記事に書いたが、私は法則型の人間である。つまり物事の仕組みや法則を理解することに喜びを感じるタイプだ。その私が年金の仕組みを理解する上で参考にし、なるほどと納得できたのが、高橋洋一先生の以下の動画である。

www.youtube.com

 

年金は長生きした時に貰える「長生き保険」なのだ。死亡保険が死んだ時に支払われる保険であるのとは反対に、長生きした時にもらえる保険と考えればよいのだ。保険であるから、人がどれくらい長生きするかを確率的、統計的に考えて制度設計されている。であるからよほどバカな運用をしない限り破綻することはない、ということだ。

支給される年金額

高橋先生の説明は明快だ。前提条件として年収の2割を保険金と支払うとする。実際には厚生年金の現在の負担率は18.3%でこれを労使折半しているのだが、単純化するため2割とする。

  • 20歳から70歳まで働いて50年間保険金を支払ったとすると50×0.2=10となり10年分の年収を支払うことになる
  • 65歳から85歳まで生きて年金を受給したとすると、10÷20=0.5となり現役時代の年収の半分の金額を毎年受け取ることができる

ということになるのだ。

85歳を超えて長生きしたらどうなるのかという疑問もでると思う。そこは85歳より早く死ぬ人もいるので、全体としては相殺されて問題ないのだ。

ここで高橋先生の動画を参考に、私が見つけた法則も紹介したい。「支払った金額の4倍が支給される」という法則だ。

  • 労使折半で保険金を支払っているので、自分が毎月支払う金額の2倍になる
  • 20歳から60歳まで40年間保険金を支払い、65歳から85歳までの20年間年金が支給されるとすると、期間が半分になるので単位期間あたりの支給額は2倍になる
  • 2倍×2倍で「支払った金額の4倍が支給される」

ということになる。

老後に4倍になって返ってくると思えば、毎月天引きされる年金保険料も、少しは納得できるのではないか。

これは私のオリジナルな理解であり、高橋先生はこのような説明はしていない。私の考え方は40年間の支払い期間を前提としているが、仮に高橋先生のように50年間の支払い期間を前提にすると、支給額も4倍ではなく5倍となり、「毎月支払う金額(給与の1割)の5倍が支給される」ことになり、月あたり給与の5割が支給されることになるので、高橋先生の年収の半額を毎年受け取るという結果と整合する。

賦課方式と積立方式

私は最近まで公的年金は積立方式であるとなんとなく思っていた。企業年金個人年金は積立方式である。自分の積み立てたお金が退職後や老後に支給される方式だ。しかし公的年金は賦課方式なのだ。要するに現役の人達が納めてくれた保険料が、現在の年金生活者に支払われる方式だ。

調べてみると、国民年金は積立方式で1961年にスタートしたが、当時の激しいインフレ(インフレ率7%)ですぐに財源不足となり、1966年に賦課方式の要素を持つ修正積立方式へ、1973年までには現在の賦課方式へ完全に移行したようだ。賦課方式はインフレには強い方式らしい。

賦課方式の心配な点は、現在の少子高齢化がもっと進んだらどうなるのか、と言う点だと思う。しかしこの点についてもあまり心配はいらないようだ。人口の変化というのは予測可能な未来であり、40年先、50年先までほぼ確定した未来だ。年金は法律で5年毎に財政検証することになっているので、その検証の中で適切に見直しがされていくはずである。

公的年金の積立状況

公的年金は賦課方式であると話をした後で、この話をするとややこしくなるのだが、年金保険料の一部は積立金として積立てられ、債券や株式で資産運用されている。運用している組織は最近少し話題になったGPIFである。

GPIFが運用している積立金はなんと2023年度の最新の運用状況によると224兆7,025億円もある。この規模は世界の年金基金ランキングにおいて第一位となっている。

GPIFのHPの情報によると、2020年度の年金給付額の総額が56兆円なので、約4年分の年金給付額の規模の積立金を持っていることになる。これは安心材料だ。

2023年の出生数は過去最低になったというニュースがあった。この世代が働き盛りの世代になる40年後や50年後には年金制度に少なからず影響は出るだろう。その時のための積立金なのだ。

GPIFはX(旧Twitter)でも情報を発信している。私はフォローしている。

最近、日本共産党の国会議員が下記のようなレベルの低い質問を国会でしたようだ。全く困った人達だ。

news.yahoo.co.jp

まとめ

日本の年金制度は知れば知るほどよくできた制度であると感心する。日本の健康保険は皆保険として世界に誇れる制度であるが、日本の公的年金も皆保険として自慢してもいい制度ではないかと思う。

私が見つけた参考になるサイトのリンクを貼っておくので興味のある方は見てもらいたい。